ビジネスの現場で「心理的安全性」という言葉を聞く機会が増えました。
「心理的安全性」とは何なのか?を確認しました。
この記事でわかること
①「心理的安全性」とは何か?
②「心理的安全性」はビジネスの現場で活用可能か?
※ ②の結論:一朝一夕での活用は難しいが、粘り強く対応することで活用できる。
この記事の目的
私自身と読者の勉強:知識を広める
この記事の狙い
① 「心理的安全性」の言葉の意味を知る
② 「心理的安全性」の具体的な内容を知る
③ 「心理的安全性」がビジネスの現場でどう活かせるかを考える
④ 私自身の経験から「心理的安全性」を実現できるかを考え、共有する
「心理的安全性」の言葉の意味を知る
心理的安全性とは?
1999年に、エイミー・エドモンドソン教授(米ハーバード大学:組織行動学)によって提唱された概念。
どんな概念か?
組織やチーム内で
- 自分が発言することを恥ずかしいと思わない
- 自分が発言した内容が拒絶されない
- 発言したことによって罰を受けない
といったことが確信できる状態のこと
何故、この言葉を聞く機会が増えたのか?
2016年にGoogleが「心理的安全性の高いチームは、離職率が低く、生産性が高い」といった調査結果を発表しました。
この「Googleの調査」というネームバリューも手伝って、多くの企業が注目するようになったのだと思います。
具体的な内容
それではより具体的な内容を見ていきましょう。
エドモンドソン教授は「心理的安全性がなくなる4つの不安と特徴的な行動」を紹介しています。
①無知だと思われる不安(Ignorant=無学の、無知の)
自分がわからない言葉やチーム内で使われる言葉や議論している内容がわからないのに、
そのことを確認・質問すると「こんなことも知らないの?」「ちゃんと勉強しておいてよ。」と思われるのではないかと不安になること。
特徴的な行動:言葉や内容がわからないまま放置する。
②無能だと思われる不安(Incompetent=無能な)
ミスや失敗をしてしまった時に「仕事ができないヤツ」「無能なヤツ」と思われるのではないかと不安になること。
特徴的な行動:自分の失敗を認めない。ミスしても報告しない。
③邪魔をしていると思われる不安(Intrusive=侵入的、邪魔をする)
自分が発言することで「話の邪魔をしている。」と思われないか不安になること。
特徴的な行動:アイデアがあっても提案しない。思っていることを発言しない。
④ネガティブだと思われる不安(Negative=否定的な、悲観的な)
他者の意見に対して改善を提案したくても「他人を批判している。」と否定的に思われないか不安になること。
特徴的な行動:本来必要となる指摘をしない。チームや他者の問題について発言しない。
このような心理安全性がない(低い)状態では、
- チームにとって本来必要となる意見交換がなされない。
- メンバーは本当の自分を偽った行動をとり、積極的に議論に参加しなくなる。
といった傾向が強くなり、結果としてチームの生産性が大きく低下してしまいます。
反対に心理的安全性が高いチームは、これら4つの不安が解消され、
- メンバー間のコミュニケーションが活発になる。
- メンバーは少々のミスや失敗を恐れず積極的に行動する。
- 様々なアイデアが議論される。
- 必要となる指摘や問題提起がなされて、チームがより正しい方向に進んでいく。
といった理想のチームに近づいていきます。
このように心理的安全性の高いチームを目指すことで、チームの生産性向上につながります。
我々はこのようなチームの状態を目指す必要があります。
ビジネスの現場でどう活かせるかを考える
通常、企業はどのような職種であっても「部」や「課」などのチーム単位で仕事を進めます。
よって、この「心理的安全性」はどのようなケースでも当てはまると言えるでしょう。
より影響がある業務
- 経営企画、商品企画(商品開発)、広報・PR、営業企画
経営戦略・営業戦略など新たな戦略を考える
新しい商品・技術を世に送り出す
既存商品の改良を考える
商品・サービスの販売促進や認知度アップを考える
このような業務では多くのアイデアと様々な議論・検討が必要となるため、メンバー同士が意見をぶつけ合ったり、様々なアイデアをまとめる際の積極的な関与が必要であったりします。
また、ふと出る「的外れ」と思えるようなアイデアから議論が深まり、結果としてそれが素晴らしい戦略につながっていくようなケースもあります。
このような業務ではメンバーが安心して発言できる心理的安全性の高いチームであることが求められると思います。
あまり影響がない業務
反対にあまり影響がない業務というのはそれほど多くないような気がします。
ルーチンワークは決められた業務を個人で推進するケースが多いため、一見「心理的安全性」の影響がなさそうです。
しかし、通常はルーチンワークであっても職場環境が良好であれば作業効率は上がります。
よって、チーム云々ではなくても上司を中心とした組織全体の雰囲気が良い(良好な)状態であることが必要だと思います。
そのためには高い「心理的安全性」が必要となります。
私自身の経験から「心理的安全性」を実現できるか考え、共有する。
私の職場で「心理的安全性」が高い状態を作れるかについて私見を述べます。
心理的安全性は理想的な概念です。
このような状態の職場は間違いなくメンバーが活き活きと働き、それに比例する形で生産性は向上します。
しかし、現実はそんなに甘くはありません。
一朝一夕でそのような理想の職場を作り上げることは不可能です。
何故なら、
- 組織が一定の規模を超えると、上司は全ての部下に目を向けることができない。
- 多くの場合、部下同士のチームで様々なタスクが進む。
- よって、その場で心理的安全性が保たれるかは不明である。
- 「声の大きい」部下の意見が優先され、積極的に発言できない部下が思うように仕事を進めることができない場合は、チームのモチベーションが低下する。
ということで、正直、そのようになるかは、部下たちの力量、性格、部下同士の相性、その時に負荷状況などに左右されるでしょう。
ただし上司としてそのような状態になることを未然に防止する必要があります。
心理的安全性の高い組織の作り方
心理的安全性の高い職場は、時間をかけて上司と部下の努力によって作り上げていく必要があります。
むしろ、それしか方法がないと思います。
私が考える心理的安全性の高い職場の作り方は、
- 信頼できる部下に心理的安全性の概要を共有し、サポートを依頼する。
- 部下との面談で、仕事上の困り事、同僚との関係など個別の性格、傾向などを聞き出す。
- 聞き出したことに対し肯定的なフィードバックを行う。
- 部下(チーム)とのミーティングで、部下から意見をもらう場を意図的に作り出す。
- 上司自らが、その際の部下の発言を肯定する。
- 発言した部下が、その発言を肯定されるという「成功体験」を地道に積み重ねる。
※意識して肯定するが、限度のラインはある。
これらの取り組みをコツコツと継続することです。
とても時間のかかる取り組みですが、継続すれば必ず成果につながります。
この記事のまとめ
本日は「心理的安全性」とは何か?を学びました。
心理的安全性は、組織やチーム内で
- 自分が発言することを恥ずかしいと思わない
- 自分が発言した内容が拒絶されない
- 発言したことによって罰を受けない
といったことが確信できる状態であり、これを実現することでチームの生産性を高めることができます。
職場でこの心理的安全性の状態を作り上げるためには、多くの時間と努力が必要です。
上司自身が部下としっかり向き合い、部下を肯定することを着実に積み重ねてチームに安心を与えましょう。
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